ふたば通信

困難から生み出されるモノ

幼稚園では、集団生活を送ることが、幼稚園で初めてという子どももたくさんいます。

自分の想いを、泣いたり笑ったりして、表出をしてきたときに、比較的タイムリーに個別的に受容されてきたこれまでの経験とは少し異なり、自分の想いがタイムリーに、個別的に受け止められなかったり、また自分の興味・関心などと異なる他児の存在に初めて出会い、戸惑いを見せることがあります。

例えば、子どもたち同士が積み木で遊んでいたとして、

Aちゃんがしたいと思っている遊びもBちゃんがしたいと思っている遊びも、積木ということで同じだったとしても、細かな部分の遊びに求めるニーズは異なっていることがよくあります。

例えばAちゃんは「高く積みたい」、

Bちゃんは、「横に並べたい」かもしれません。

イメージしている遊びと異なることを他児がすることで、「私の思っていることじゃないからやめて!」という思いから、「やめて」と言ったり、時にそれがうまく言えず、手が出てしまったりすることもあります。

また、5歳児は、活動の内容や役割を決める時に「話し合い」を行いながら、自分たちで合意して決めていくということを行っています。この中でも、積極的に意見が言えたり、逆にうまく言えなかったり、様々な状況が見られます。時には「私はこれがしたかったのに、伝えられなかった・・・」と不本意な決定や役割分担になってしまうことも・・・。

これらのように、他児との考えの違いから生まれる葛藤経験や、自分の想いがなかなか反映されないもどかしさなどは、一見するとネガティブな場面に見えますが、

この経験の中にはたくさんの「学び・育ち」のタネが詰まっていると考えています。

 

小学校以降に大切な一つの姿として、「思っていることや困っていることを自分から表現できる」ということが幼小連携の中で話題に挙がることがあります。

このような子どもにとって困難な場面、快適では決してない場面にこそ、自ら工夫をしていくことがあります。「困難→解決」、「不快→快」というように進んでいこうとする力を持っています。

その工夫していく過程に保育者をはじめ周囲の大人の適切な援助が大切となりますので、言語面だけではなく非言語面(態度・表情・しぐさなど)でも受容をしつつ、挑戦をしていけるような環境を作ることも大切です。

このように集団生活を送る中で子どもたちは、楽しい場面はもちろんのこと、時に戸惑い、葛藤、困難と向き合いながら、成長をしています。このような学び・育ちのタネが詰まっている場面ですが、子どもによっては、しんどさを感じている部分でもありますので、園を家庭をはじめ、子どもに関わる大人が、「ともにアイデアを考えていくコト」、「子どもが自ら進もうとする力、英気を養うことが出来るコト」、「困難だったことが解決したり、打破できたりしたことを実感出来るコト」を支えていくことも同時に重要だと思います。

ご家庭でも様々に子どもたちのお話を聞いていただいているかと思いますが、今後とも園と家庭が両輪となり進んでいけるよう、よろしくお願いいたします。